ボトックス注射は、ボツリヌス菌が生み出す毒素の作用を利用して、口元のシワやたるみ等の審美上の問題点を解決する目的で美容クリニックで実施されている治療法です。
ボトックスの作用機序は、神経の情報を伝える神経伝達物質のアセチルコリンの伝わりを弱める作用を有する点にあります。
仮に筋肉が緊張している部分にボトックス注射をすると、アセチルコリンの作用が弱められるので筋肉の緊張が取れて弛緩することになるのです。
この筋肉の緊張をほぐす作用に着目してしわを目立たなくしたり、エラが張った状態や二重あごなどの審美的トラブルの解決やアンチエイジングに利用されているわけです。

ボトックスに類似した作用を持つ物質にヒアルロン酸があります。
ヒアルロン酸もボツリヌス菌毒素由来のボトックスも似たような作用でシワやたるみ治療に頻繁に使用されているわけです。
両者の違いは何処にあるのでしょうか。
ヒアルロン酸は表皮の下の真皮層を構成するたんぱく質の一種で、ヒアルロン酸を注射するとハリが回復しシワなどが目立たなくなる訳です。
これに対してボトックスはボツリヌス菌毒素の筋肉弛緩作用を利用して、しわを目立たなくするわけです。
このように美容業界では両者がシワ取りや口元のたるみなどのアンチエイジング目的で使用されていますが。
歯科クリニックでも利用されている場合があります。
それはボツリヌス菌毒素由来のボトックス注射です。

歯科クリニックでボトックス注射が治療に利用されるのは、主に歯ぎしり症状の改善目的になります。
顎関節症などで歯ぎしりをする壁があると、就寝中も強い負荷が加えられ歯の磨耗スピードが早くなったり、歯並びが悪くなるなどのトラブルに見舞われるようになるわけです。
歯ぎしりの改善にはマウスピースを就寝中に装着するなどの治療が行われますが、飲酒後などは装着せずに寝てしまうなど、セルフ管理が難しい側面があります。

そこでボトックス注射を顎の咬筋に行うことで、咬筋の緊張がほぐれ歯ぎしりが緩和され、同時に頭痛や肩こり症状の緩和などの治療効果を期待することが出来るのです。
ただしボトックスの治療効果は永続的なものではなく、数ヶ月ほどの期間が経過するうちに体内に吸収されてしまうので、治療効果を維持するためには再度注射を行わなくてはなりません。
ただ歯ぎしりは咬筋を日常的にトレーニングしている状況なので、一時的にせよ緊張を緩和することには顎関節症の自覚症状改善に大きな意味を持つものと言えるでしょう。