今や一般的になった歯科用インプラントによる治療、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、そこに人工の歯を被せる治療方法です。
歯がないところに補う治療法は他にもあるものの、こちらの方法であれば見た目が本物の歯とそっくりになるためコンプレックスを抱くことなく大きな口を開けて笑えるようになります。
骨に埋め込まれているのでぐらつきもなく食事も取りやすいですし、他の自身の歯と同じようにケアしてやればいいのですからとても便利でおすすめの治療法なのですが、もしも顎骨自体の欠損があると治療は難しくなります。
その場合には自家骨移植といって自身の別の部位の骨を移植しなければならないのですが、自家骨移植は患者の負担が大きいので限界があるのです。

しかしながら、医療技術というのは今もどんどんと進歩しています。
このたび、九州大大学院歯学研究院の石川邦夫教授らのグループが本物と同じ成分の人工骨を世界で初めて開発したのです。
これがあれば、わざわざ別の部位の骨を移植する必要はありません。
事故などにより欠損している患者だけでなく年齢を重ねて骨が痩せてしまっている高齢者だって、あらゆる方が歯科用インプラントの治療を受けられるようになるということで期待が高まっています。

そんな人工骨に使われているのが炭酸アパタイトという成分です。
リン酸カルシウムの一種であるこちらは本物の骨を構成する成分の約70パーセントを占めるのです。
以前にも粉末状の炭酸アパタイトを使った技術というのは確立していたのですが、体内に移植した際に炎症を起こすおそれもあるため臨床現場でうまく使いこなすことができずにいたのです。
しかしながら、石川教授らはこれをブロック状や顆粒状にすることができたことで実用化となったわけです。
2017年12月には薬事承認を受け、その翌年の2月には国内販売が開始されています。
それ以前にも人の骨に近い成分を持つ水酸アパタイトというのもありましたが、こちらは骨に置き換わらないなど問題があり薬事承認は得ていませんでした。
新たに炭酸アパタイトによる人工骨ができたことで治療の可能性は格段に広がったのです。
まだ出てきたばかりで取り扱っているクリニックも今のところは少ないでしょうが、これからはどんどん広まっていき、更に多くの方々が歯科用インプラントを使用するようになるでしょう。
今までは治療が受けられなかった患者たちだって治療の道が開かれるのです。